先に、要点をまとめます。
- GPT-6 SolとLunaは 2026年9月22日に公開 され、同名の前世代モデルに対して単価が半分になりました(100万トークンあたり、Solは 入力4→2米ドル・出力20→10米ドル )。
- 「50%減」が成立するのは同名モデル同士を比べたときだけ です。GPT-5.6 Terraを使っている処理をGPT-6 Solへ移すと、入力は2米ドルで同額、出力は12米ドル→10米ドルの約17%減にとどまります。
- 請求額が単価どおりに下がらない条件は 入力27.2万トークン超に適用されるlong context料金・キャッシュ比率・effortによる出力トークン量 の3つです。単価表ではなく、直近1ヶ月の実使用ログから再計算してください。
2026年9月23日時点で確認した情報です。料金・提供条件は改定されることがあるため、判断の直前には本文中の公式ページで最新の状態をご確認ください。
GPT-6 Sol・Lunaへ移ると請求額はいくら下がりますか?
同名モデル間では単価が半分です。ただし請求額が半分になるのは、入力トークン長・キャッシュ比率・effort設定が移行前と変わらない場合に限られます。
2026年9月23日にOpenAI公式の料金ページで確認した単価です(100万トークンあたり・米ドル・Standard processing・short context)。
| モデル | 入力 | キャッシュ入力 | 出力 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | 4.00 | 0.40 | 20.00 |
| GPT-6 Sol | 2.00 | 0.20 | 10.00 |
| GPT-5.6 Terra | 2.00 | 0.20 | 12.00 |
| GPT-5.6 Luna | 0.20 | 0.02 | 1.20 |
| GPT-6 Luna | 0.10 | 0.01 | 0.50 |
この「50%減」が何を基準にした数字かは、情報源によって説明が分かれています。OpenAIの発表ページは「GPT-5.6のプロモーション価格と比べて」と書いていますが、OpenAI広報はVentureBeatの取材に対し、今回の価格は恒久価格でありプロモーションや導入価格ではないと答えています。比較の基準が一致していないため、自社の削減幅は発表の見出しではなく、現在の請求明細に載っている単価から計算してください。
モデルの選び分けはGPT-6 Astraとは?公式仕様・API料金と業務での選び方で扱っています。本記事が扱うのは「いま動いている処理を移すと請求額がどう動くか」です。
「50%減」が自社に当てはまらないのはどんなときですか?
移行元がGPT-5.6 Terraのとき、そして入力が27.2万トークンを超えているときです。
LLM API組み込みシステム開発について相談するClaude・OpenAI・GeminiなどのLLM APIを業務システムに組み込む受託開発LLM API組み込みシステム開発を見る →GPT-5.6はSol・Terra・Lunaの3ティアでしたが、GPT-6はAstra・Sol・Lunaで中間のTerraが消えています。後継にあたる同名モデルがないため、Terraからの移行では入力が同額になります。
| 現在のモデル | 移行先 | 入力の変化 | 出力の変化 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | GPT-6 Sol | 4.00→2.00(50%減) | 20.00→10.00(50%減) |
| GPT-5.6 Terra | GPT-6 Sol | 変化なし | 12.00→10.00(約17%減) |
| GPT-5.6 Luna | GPT-6 Luna | 0.20→0.10(50%減) | 1.20→0.50(約58%減) |
| GPT-5.6 Terra | GPT-6 Luna | 20分の1 | 24分の1 |
Terra→GPT-6 Solで効くのは出力側だけなので、分類・抽出のように出力が数十トークンで済む処理では請求額はほとんど動きません。検討すべきなのは横移動ではなく、後述するLunaへの移行です(前世代3ティアの読み方はGPT-5.6 Sol・Terra・Lunaの違い)。
もう一つの条件がlong context料金です。両モデルのコンテキストウィンドウは105万トークン、最大出力は12万8千トークンで、 入力が27.2万トークンを超えると入力側が2倍・出力側が1.5倍になります (GPT-6 Sol公式仕様・GPT-6 Luna公式仕様、2026年9月23日時点)。GPT-6 Solなら入力4.00・キャッシュ0.40・出力15.00米ドルで、 入力4.00米ドルはGPT-5.6 Solのshort context時と同額です。
長い会話履歴や大量の資料を毎回投げている処理では、移行しても入力側の単価が変わらないことがあります。単価表を見る前に入力トークン長の分布を取ってください。平均値では27.2万トークン超が1割あっても表れにくいため、超過したリクエストの件数比で出します。
キャッシュとeffortで削減幅はどう変わりますか?
キャッシュ入力はGPT-6 Solで0.20米ドル、通常入力の10分の1です。一方でeffortを上げると思考トークンが増え、出力側の請求が伸びます。
キャッシュが効くかは前置きが同じかで決まります。システムプロンプトや参照資料が毎回同じで末尾の質問だけが変わる構成なら比率が上がり、毎回違う資料を1回ずつ投げる処理では効きません。
effortについては、前世代からの移行で注意すべき変更が ない ことを確認しておく価値があります。GPT-6 SolとLunaのreasoning.effortはnone・low・medium・high・xhigh・maxの6段階で、 既定値はmediumです。GPT-5.6 Solも既定はmediumで、変更はありません。
同時期に公開されたAnthropicのClaude Opus 5.5では既定値がhighからmediumへ下がり、モデルIDを書き換えるだけの移行でエラーを出さずに推論水準だけが下がる問題がありました(Claude Opus 5.5とは?料金・推論設定と業務での評価方法)。 GPT-6 Sol・Lunaにこの種の変更はありません。
ただし既定値が据え置きであることと、費用が単価どおりに下がることは別です。effortを上げれば思考トークンが増え、出力トークンとして課金されます。単価が半分でも出力トークンが2倍になれば出力側の請求は元に戻ります。移行を機にeffortを調整するなら、単価とeffortを1回でまとめて変えず、順番に変えて差分を取ってください。
Lunaへ格下げできる処理はどう見分けますか?
GPT-6 SolからGPT-6 Lunaは入力・出力とも20分の1です。ただしChat Completionsでのfunction callingはreasoning_effortがnoneのときのみという制約があります。
単価差が桁で効くため、移行判断で最も金額が動くのはこの選択です。OpenAIはLunaについて、GPT-5.6 Solの約100分の1のタスクコストで、高いeffort設定時には同等の事実性を示すとしています。一方で、そのまま落とせない条件があります。 ツール呼び出しを伴う処理をChat Completionsで組んでいる場合、Lunaではreasoning_effortをnoneにしない限りfunction callingを使えません。 noneは推論を使わない設定なので、判断を伴う処理を移すと出力の内容が変わります。
| 処理の形 | Lunaへの移行 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 分類・抽出・要約(ツール呼び出しなし) | 検証対象になる | 同じ入力での不合格件数と修正時間 |
| Chat Completionsでツールを呼ぶ | そのままでは移せない | Responses API側で組めるか、effort=noneで足りるか |
| 複数段階の判断を任せている | 慎重に判断する | 判断部分だけSolに残して分割できるか |
| 大量の定型処理を夜間に回す | 検証対象になる | Batch APIと併用したときの実効単価 |
OpenAIはSolについて、AutomationBench 1.0.6で33.2%(1タスク0.27米ドル)、事実性評価でGPT-5.6 Solの約半分の誤り、敵対的テストでの欺瞞率1.3%(GPT-5.6 Solは10.4%)としています。 これらは評価用の課題に対する結果であり、自社業務での合格率ではありません。 判断の材料は、自社の入力で測った不合格件数のほうです。
Batch処理とデータレジデンシーも単価を動かします
Batch APIは即時の応答が要らない処理に使う経路で、入力・出力・キャッシュのいずれも50%減です。GPT-6 Solの出力10.00米ドルはBatch経由で5.00米ドルになります。逆にリージョナル処理(データレジデンシー)のエンドポイントは、2026年3月5日以降にリリースされたモデルで10%の上乗せがあり、GPT-6 SolとLunaが該当します。EUデータレジデンシーはStandard processingでのみ利用できます。保管地域の要件があるなら上乗せ分を織り込んでください。
自社の請求額はどう測り直せばよいですか?
単価表を見て決めず、直近1ヶ月の実使用ログから4つの値を取り、現行単価で再計算してから新単価に置き換えます。
請求額を単価表から逆算すると、long contextの超過分やキャッシュ命中分が抜け落ち、削減額を実際より大きく見積もることになります。
- 直近1ヶ月の実使用ログを集める。 モデル別・処理別に分け、APIレスポンスのusageを合算します。請求書の総額だけでは内訳が取れません。
- 現行単価で再計算し、請求書と突き合わせる。 差が出るなら、ログの取りこぼしかlong contextの見落としです。ここが合うまで次に進みません。
- 単価だけを新モデルのものに置き換える。 トークン量・キャッシュ比率・effortは移行前の値を使います。これが単価変更だけの効果です。
- 代表処理を3件選び、新モデルで実行して差分を確認する。 トークン量が変わる場合は、その実測値で3をやり直します。
移行前に取る記録表
| 記録する欄 | 単位 | 取り方 |
|---|---|---|
| 入力トークン(キャッシュ未命中/命中) | 数 | usageの入力とcached_tokens。件数ではなくトークン量で取る |
| 出力トークン | 数 | usageの出力。推論(思考)トークンを含む |
| 入力27.2万超のリクエスト比率 | % | 件数比。平均値ではなく超過件数の割合で取る |
| reasoning.effort | none〜max | 明示した値。未指定なら「未指定(既定値medium)」と記録 |
| 現行単価での再計算額 | 米ドル | 上記×現行単価。請求書と一致することを確認する |
| 新単価での再計算額 | 米ドル | トークン量は据え置き、単価だけ置き換える |
| 採用できた件数 | 3件中の数 | 修正なしで使えた件数 |
| 修正にかけた時間 | 分 | 担当者の実時間 |
最後の2行を省かないでください。API費用が半分になっても確認・修正の人件費が増えれば、総負担は増えています。当社の作業単価1時間11,000円(税込)で換算すると修正時間10分は約1,830円で、API費用の差より桁が大きくなることがあります。
計算例:Terraで動いている社内文書の要約処理
月100万リクエスト、1件あたり入力3,000トークン(うちキャッシュ命中2,000)・出力400トークンの処理を置きます。以下は手順を説明するための計算例で、当社の測定結果でも標準的な利用量でもありません。自社のログの値に置き換えて再計算してください。
| 区分 | GPT-5.6 Terra | GPT-6 Sol | GPT-6 Luna |
|---|---|---|---|
| 入力・キャッシュ未命中(10億トークン) | 2,000米ドル | 2,000米ドル | 100米ドル |
| 入力・キャッシュ命中(20億トークン) | 400米ドル | 400米ドル | 20米ドル |
| 出力(4億トークン) | 4,800米ドル | 4,000米ドル | 200米ドル |
| 合計 | 7,200米ドル | 6,400米ドル | 320米ドル |
Terra→GPT-6 Solは約11%減にとどまります。「50%減」との差は、Terraの入力単価がもともとGPT-6 Solと同額だったことによります。一方でLunaへ落とせる処理なら桁が変わります。 どちらを選ぶかは単価ではなく、同じ入力を通したときの不合格件数と修正時間で決めてください。
業務で試すときの確認点
モデルIDとeffortを明示し、移行前後で入力・出力・キャッシュのトークン量を別々に記録してください。
特に確認したいのは、long contextの超過が起きている処理と、Chat Completionsでツールを呼んでいる処理の2つです。前者は単価の前提が変わり、後者はLunaへの移行経路が変わります。モデルIDとeffortを設定値として外に出しておけば、次の世代でも同じ手順で測り直せます。自社の業務データで検証する段階ならAI PoC開発、本番へ組み込む段階の設計はAIの本番導入が対象範囲です。
この記事は2026年9月23日時点の公開情報にもとづく解説です。本文の試算は計算例であり、当社が本番環境でGPT-6を運用した測定結果ではありません。
よくある質問
Q. GPT-6に移せば請求額は半分になりますか?
同名モデル間で、入力トークン長・キャッシュ比率・effort設定が移行前と変わらない場合に限り、おおむね半分になります。GPT-5.6 Terraからなら入力単価が同額のため、下がるのは出力側の約17%分だけです。入力が27.2万トークンを超えるリクエストにはlong context料金(入力2倍・出力1.5倍)が適用されます。
Q. effortの既定値は変わりましたか?
変わっていません。GPT-6 Sol・Lunaの既定値はmediumで、GPT-5.6 Solも既定はmediumです。モデルIDを書き換えるだけで推論水準が変わる種類の変更は、この移行にはありません。ただしeffortを上げれば思考トークンが増えて出力側の請求が伸びるため、単価とeffortはセットで見てください。
Q. Lunaへ落とせば費用は20分の1になりますか?
単価は入力・出力とも20分の1です。ただしChat Completionsでのfunction callingはreasoning_effortがnoneのときのみという制約があるため、ツール呼び出しを伴う処理はそのまま移せるとは限りません。同じ入力で不合格件数が増えれば、確認・修正の時間が費用として戻ってきます。
Q. 値下げは期間限定ですか?
OpenAI広報は恒久価格でありプロモーション価格ではないと説明しています。ただし料金・提供条件は改定されることがあるため、判断の直前に公式の料金ページでご確認ください。
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