SaaSの値上げ通知が届いたら、まず確認したいのは自社の契約にいつ、何の変更が適用されるかです。料金だけを見て乗り換えを決めると、移行や教育、並行契約の費用を見落とすことがあります。
見直しでは、継続、契約の整理、別のSaaSへの移行、一部の自社開発を同じ条件で比較します。自社システムにもクラウドやAPI、保守の費用がかかり、外部サービスの価格改定の影響は残ります。
2026年9月6日更新。過去の価格改定と現在の契約条件を分け、自社開発の費用が一定になるような説明を修正しました。
SaaSはなぜ値上げするのか:公式発表と自社の請求を分ける
価格改定には、機能やプラン構成の変更が伴う場合があります。ただし、すべての値上げをAI機能の追加だけで説明することはできません。個別の告知と契約条件を確認する必要があります。
たとえばSalesforceは、2025年8月1日から対象となるEnterprise・Unlimitedエディションの価格を平均6%引き上げると発表しました。これは2025年の改定であり、2026年の自社契約にそのまま追加される値上げ率ではありません。Salesforceの公式発表
Slackも2025年に機能と価格体系の変更を案内していますが、適用はプランや更新条件によって異なります。現在の支払額は、一般向けの表示価格だけでなく、自社の更新通知と契約画面で確認してください。Slackの公式案内
更新通知を受け取ったら確認する6項目
| 確認項目 | 書き出す内容 |
|---|---|
| 対象契約 | 製品、プラン、契約先、通貨、税の扱い |
| 適用時期 | 新料金の開始日、更新日、解約・減数の通知期限 |
| 課金対象 | 契約席数、実利用者数、従量課金、最低契約数 |
| 変更内容 | 料金、含まれる機能、外れる機能、追加オプション |
| 業務への影響 | 毎日使う機能、停止できない処理、連携先 |
| 移行条件 | データ出力形式、添付ファイル・履歴、移行先での再現可否 |
更新直前では減数や解約の通知期限を過ぎていることがあります。「何週間前なら大丈夫」と決めず、自社の期限から逆算して検討日を設定してください。
最初に試したいのは、現在の契約の棚卸し
不要な席や重複機能を整理できれば、データ移行を伴わずに費用を見直せます。ただし、ログインが少ないだけで不要とは判断できません。月次・年次業務、承認者、閲覧専用の利用も確認します。
説明用の具体例として、月額2,000円の席を30席契約し、実際に必要な席を25席と確認できた場合、減数が契約上可能なら、月額は60,000円から50,000円になります。税・割引・最低契約数を含めていない計算例で、特定製品の価格や実績ではありません。
棚卸しでは利用部門に「解約して困る処理は何か」を確認し、対象機能と代替手段を残します。必要な利用まで削ると、手作業が増えて別の負担になるためです。
継続・乗り換え・自社開発を公平に比較する
| 選択肢 | 検討しやすい状況 | 追加で確認する負担 |
|---|---|---|
| 現契約の継続・整理 | 必要機能が合い、席数やプランを見直せる | 更新条件、将来の利用人数、従量費 |
| 別のSaaSへ移行 | 必要な機能が標準機能で収まる | 移行、設定、教育、連携の作り直し |
| SaaS+一部開発 | 既存の基盤を生かし、不足部分だけ補いたい | API制限、両方の保守、障害時の切り分け |
| 自社専用システム | 独自の業務やデータ連携が選定の中心になる | 初期開発、クラウド、保守、更新、担当者の確保 |
SaaSにも導入設定や移行費用があり、自社開発にも外部サービスへの依存があります。比較表で「SaaSは初期費用なし」「自社開発は値上げなし」と扱わないことが重要です。
自社開発は、業務に合わせた設計や変更範囲を検討できる一方、使い続けるための保守と管理が必要になります。保守費を開発費の一定割合に固定せず、作業内容と契約範囲から確認するようにしてください。
総費用を同じ期間で並べる
当社が比較時におすすめするのは、次の項目を各案について同じ期間・人数・対象業務で並べる方法です。期間は契約や投資判断に合わせて設定します。
比較期間の総費用=初期費用+利用・運用費+移行・教育費+並行稼働費+終了・再移行に備える費用
まだ金額が分からない項目はゼロにせず「要見積もり」と残してください。特に、データの取り出し、移行後の照合、添付ファイルの扱い、権限の再設定は確認漏れが起きやすい項目です。
予想する利用者数が増えた場合、API利用量が増えた場合も試算します。将来価格を正確に予測するためではなく、どの条件に費用が左右されるかを把握するためです。
移行を決める前に、小さく確かめる
代表的な業務を1つ選び、入力から承認・出力までを移行先で再現できるか確かめます。データの件数だけでなく、履歴、添付、権限、外部連携も確認対象です。
その結果をもとに、移行する範囲、現行に残す範囲、並行運用期間、元に戻す判断条件を決めます。更新期限に間に合わない場合は、契約上可能な継続方法を確認し、移行を急いだ場合の業務負担と比べます。
更新期限から逆算する記入例
以下は確認項目を示すための契約例です。特定サービスの条件ではありません。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 契約更新日 | 2027年1月1日 |
| 解約・減数の通知期限 | 2026年11月30日 |
| 比較案 | 席数整理、別SaaS、現行+一部開発 |
| 期限前に確認すること | 必要席数、出力できる履歴、移行先の受入結果 |
| 未確認事項 | 添付の移行、並行契約、解約後の閲覧 |
| 間に合わない場合 | 継続条件を確認して移行範囲・時期を見直す |
自社開発を比較する場合、当社の単価は1時間11,000円(税込)です。要件定義・すり合わせ・開発・テスト・バッファを積み上げ、移行、教育、クラウド・API、契約による保守を別に確認します。月額の差だけで回収期間を出さず、新しい継続費を含めて比べます。
よくある質問
Q. 値上げされたら自社開発に切り替えるべきですか?
一律には判断できません。まず席数とプランを整理し、そのうえで移行・教育・保守まで含めた総費用と、必要な業務を実現できるかを比較します。
Q. 自社システムなら値上げの影響を受けませんか?
影響は残ります。クラウド、API、外部ライブラリの有料サービス、保守契約などの価格や利用量で運用費は変わります。依存先と費用の変動条件を確認してください。
Q. いつから見直しを始めるべきですか?
契約の更新日だけでなく、解約・減数の通知期限と、移行に必要な確認期間から逆算します。すべてのサービスに共通する開始時期はありません。
今の契約のまま相談できます
SaaS移行の検討シートに、契約、使っている機能、困っていることをまとめられます。AI相談用プロンプトも用意しています。見積金額や機密情報は無理に貼り付けず、分かる範囲から整理してください。
継続と移行のどちらがよいか決まっていなくても大丈夫です。いまの契約・業務から無料で相談するより、お気軽にお問い合わせください。
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